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は〜い、星井美希だよ。ナンカ貴音随分焦ってたの?どうしたのカナ?ま、いっか。

えっと、美希は華女(かおんな)?え?っ、違うの?かじょって読むんだ?ふ〜ん。その『華女ビセイ』役なの。悪役だけど、やってることが面白くて楽しいの。それじゃ、市役所に行ったビセイ達を見てねっ!


奈夢子市役所・環境課
「どうでしょうか〜?」
「う〜ん、そうですね〜・・・」
チチゲルゲに言われると、環境課の人間は難しい顔をしていた。そのチチゲルゲの隣にはジョウネがいて、後ろにはあくびをしているビセイ、物珍しそうにキョロキョロしているヒビッキーと、複雑な顔をしているアキバランがいた。
(真剣に公務員相手にゴミ出しの相談をしているのが、世界を支配しようとしている方とは思えない・・・。)
「やはり、産業廃棄物扱いですか?」
少し難しい顔をしてジョウネの方が今度は聞く。
「そうですねえ。でも、チチゲルゲさんとジョウネさんには色々とお世話になっていますから、今日の回収の時に燃えないゴミの回収車を回します。集積所にいて、回収に来たものに言って下されば回収しますので。」
「ありがとうございます〜。では、早速戻って集積所で待っていますね〜。」
「かたじけない。では、帰りますよ、ビセイ、ヒビッキー、アキバラン。」
嬉しそうに言うチチゲルゲの隣で、ジョウネは軽く一礼してから、3人の方へ向き直って言った。
「は〜い。」
「ん?分かった。」
「かしこまりました。」
3人はそれぞれ返事をして回れ右する。
「さあ、帰りましょうね〜。」
「ですから、そちらではなくこちらです。」
出口とは正反対の方向へ歩いていこうとするチチゲルゲを慣れた手つきで引きながら5人は市役所の出口へ向かって歩き出した。

一旦大木荘に5人は戻って来た。
「分別は、この『ゴミの分別一覧』に載っていますからね〜。」
「業者の方が待っているかもしれませんから、それは持って行くことにして、すぐに集積所へ向かいましょう。」
「ジョウネの言う通りだと思うの。それに、そんなの見たってメンドウ・・・。」
ヒュビシイッ
「ビセイ〜?今なんて言ったのかしら〜?」
ニコニコしていたのが一転、ムチを振るって目を細めながらチチゲルゲが聞く。
「えっ!?ビ、ビセイ、ちゃんと分別はした方がいいな〜って、言っただけなの。」
ビセイは慌ててワタワタしながらチチゲルゲに答えた。
「ふむふむ〜。」
その間も、ヒビッキーはゴミの分熱一覧を真面目に見ていた。
「チチゲルゲ様、ジョウネ様もおっしゃったように今は集積所に向かうのが先かと。」
「あら、そうだったわね〜。では、持ってしゅっぱ〜つ。」
「ですから、そちらは降りる階段ではありません。こちらです。」
それぞれ2袋ずつ両手に白い粉の入った込み袋を持って近くのゴミ集積場に向かった。
「あら、チチゲルゲさん、おはようございます。」
「おはようございます〜。」
近所のゴミ出しをしているおばさんから声を掛けられたチチゲルゲは笑顔で答える。
「ジョウネさん、おはよう。あのね、また分別しない人がいるみたいだから見つけたらお願いして良いかしら?」
「おはようございます。ええ、私達にお任せ下さい。その様な輩を放置する訳には参りません。」
一緒にいた、他のおばさんから言われるとジョウネは最初笑顔で挨拶した後、真面目な表情に変わって答えた。
(近所に完全に溶け込んでいる・・・。全く違和感がない・・・。)
アキバランは市役所にいたとき同様、内心複雑で何ともいえない表情で見ていた。

集積所に着いた5人はゴミ袋を置いて、回収車を待っていた。その間も、近所の人がゴミ捨てに着ていた。チチゲルゲとジョウネを知らない人はおらず、全員と挨拶したり、世間話をしていた。
少しすると、回収車が来て、事情を説明すると持ってきた白い粉のゴミだけ回収して行った。
「これで、部屋もスッキリね〜。」
チチゲルゲは晴れやかな笑顔になって言った。
「しかし、見事な分別ですね・・・。」
アキバランは集積所の細かい分け方を見たりして感心していた。
「提案から運営までのかなりの部分をチチゲルゲとジョウネがやって、市から感謝されて表彰状まで貰ったの。ビセイはオマケだけどね〜。あふぅ。」
「そ、そうですか・・・。」
(市から表彰される地球の侵略者って一体・・・。)
ビセイのあくびをしながら言う言葉に、アキバランの口はひくついていた。
「面妖な気配っ!」
ジョウネがキッとした顔つきになって、腰の剣に手を掛ける。その様子にチチゲルゲもビセイもアキバランも表情が険しくなる。
「なるほど、包んでいるビニールも燃えるゴミなんだな。ふむふむ、これは燃やしても大丈夫なのか・・・奥が深いな・・・。」
ただ、ヒビッキーだけは『ゴミの分別一覧』と出されているゴミ袋とをしゃがみ込んで交互に見ながら呟いていた。
少しすると柄の悪そうな5人組が歩いてくる。
「そこのっ!タバコのポイ捨ては止めるのっ!」
「それと、そちら。ゴミはきちんと分別して捨てなさい。」
ビセイとジョウネがいち早く5人の方へ言う。
「あ〜?」
「なんか文句あんのか?」
「勿論文句ですわ〜。これだから分別も出来ず環境の事を考えない人間は困ります〜。」
チチゲルゲが呆れたように言う。
「何だと、ふざけた格好しやがって!説教たれてんじゃね〜よ!」
「ならば実力行使なら構わないという事ね?」
相手の言葉にアキバランが一歩前に出てステッキを構える。
「ああ〜ん?メガネの姉ちゃん、怪我したくなかったら引っ込んでな。それとも、いい事されてえのか?」
相手は啖呵を切った後、下品な笑いを浮かべながら言う。
「下衆がっ!」
ジョウネがアキバランをかばうように前に出ながらソードを抜く。
「そんなおもちゃでやろうってのか?面白え・・・。」
相手はナイフや、警棒を出して戦闘体勢に入った。
「ジョウネ、ここは自分が。」
しゃがみ込んでいたヒビッキーが立ち上がってジョウネに言う。
「自分、ブンベツとかカンキョウとかセッキョウとか詳しくはまだ分からない。でも、戦う事なら出来る。」
「ジョウネ、ビセイ。ここはヒビッキーに任せてみましょう。」
「分かったの。イラッとした分は頼むのヒビッキー!」
「分かりました。貴女に任せますわ、ヒビッキー。」
チチゲルゲに言われた2人は武器を収めて、後ろに戻る。
スゥッ
ヒビッキーは前に出ると、右手に立派な槍が現れる。
「なめんじゃねえっ!」
相手の一人がナイフで突っ込んでくると、ヒビッキーは黙ってその場で槍を振るう。「うわぁぁあ!?」
凄まじい風圧で、その突っ込んできた相手だけでなく、残った四人も一気に吹き飛ばしてしまった。
カランッ・・・カランッ
そして、少しして身に付けていたものや持っていた武器などが落ちて来た。
「ヒビッキー!すごいのっ!」
「ふむ、振った風圧だけであれだけ・・・。しかも他の周りのものには何も影響を与えていませんわ・・・。」
槍を立てて仁王立ちしているガナッハーを見てビセイとジョウネはそれぞれ言っていた。
「さて、ちゃんと拾いましょうね〜。」
「さっさと拾って袋にまとめて入れて、そこに出しちゃうの。」
ぴしぃっ!
「わ、わかったの。ちゃんと分別するの。」
テキトーな感じで言うビセイの前にムチが飛ぶと、慌ててビセイ言い直した。
「拾ってちゃんと分別して捨てれば、地球の環境に良いだけでなく、他の生き物にとっても良い事ですわ。」
「他の生き物にも良い・・・。自分頑張るっ!」
ジョウネの言葉に触発されて、他の4人が拾っている間にヒビッキーは1人で何倍も拾っていた。
そして、最後はゴミの分別一覧を見ながら分別した後、燃えるゴミだけを集積所に置いて、残りを胸元から出した環境対応のエコマークの入ったゴミ袋に入れた。
「こちらは後日に出しましょう。では、帰りましょうね〜。」
「ですから、アパートはこちらです。」
ジョウネは正反対の方向へ歩き出すチチゲルゲのマントを引っ張って戻してから、5人で大木荘へと戻って行った。


は〜い、どうだった?美希は最初ゴミの分別とかホントメンドウって思ったけど、撮影やってるうちに自然と分別するようになってたの。これってスゴイコトだよね?美希も自分でビックリしてるの。
えっと、それじゃ、次なの。でこちゃん、よろしくなの〜。


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